クチュールというアート
創作。それはアーティストのなせる技です。そして芸術性の頂点に位置するのがオートクチュールです。豊かな表現力、際立つ個性、飽くなき挑戦。ありふれたスタイルからの脱却。そこにはサンドラ・マーレイ独自の世界があります。
アーティストの作品が、彼らのパーソナリティと切り離せないのは言うまでもありません。サンドラ・マーレイの作品にも、複雑で個性的、純粋でありながらちょっと軽薄といった、彼女の性格が表現されています。
サンドラは、画家や詩人、写真家、ミュージシャンと同等、自己表現を生きる力にしています。そして、画家に絵の具があり、ミュージシャンに音符があり、詩人に言葉があるように、サンドラには布地があります。彼女は直感と身体感覚を通じて、布地を創り、形にして、布地に命を与えます。そう、作品に命を吹き込むのです。
アーティストは誰もが真っ白なキャンバスを求めます。そこは、ゼロから創造性を駆使できるスタート地点です。サンドラが創るすべての作品もここから始まります。芸術家としての努力、スコットランドの美学と技術が1つになって、最終的に彼女の作品が生まれます。
サンドラは国際舞台で活躍する孤高のクチュリエです。
私(サンドラ)の物語
「私(サンドラ)の物語は、1951年からヘブリディーズ諸島の北端で始まります。ルイス島のポート・オブ・ネスと呼ばれる場所です。父は、当時から船大工で、母はニット製品のビジネスを営んでいました。ヘブリディーズ諸島の暮らしを支える海、職人技、料理とウールは、幼い頃から私の心に根付いていました。
幸せな家庭で育ちました。テレビがなかったので、自分たちで楽しみを見つけました。自家製のキルトや手編みのニットを着て、外で遊んだものです。
1970年にグラスゴー美術学校に入学しました。授業ではミケランジェロやレンブラントを学びましたが、頭の中は店のショーウィンドウのことでいっぱいでした。ザンドラ・ローズ、ジーン・ミュアーなど、’60年代の人たちは皆、怖れを知らずに、衣服を表現する方法を見せてくれました。
その後、ハイランド地方のインバネスコートに居を移しました。そこでは、独立したデザイナー兼クチュリエ兼職人として注文を受け、自分の道を模索しながら、ひたすら仕事を通して学びました。私を駆り立てていたのは情熱でした。手縫い、美しい色の組み合わせ、目を見張る織り方や、衣服をもう1つ上の世界に昇華させるための情熱です。
その後の30年間は、オーダーメイドの洋服を手縫いで仕立てていました。素材には、スコットランド、ヨーロッパその他の優れたテキスタイルだけを使用しました。仕事ぶりが口コミで広がり、お得意様や常連客様ができました。
最近4年間は、ニューヨークや東京で作品を紹介してきました。展示会、委託注文、コラボレーション、イベントをこなし、数々の賞を受章し、レクチャーやファッションショーを開催し、テレビ・ドキュメンタリーの取材を受けました。本年の初めには、スコティッシュ・ファッションとテキスタイルへの貢献によりMBE勲章を受勲しました。
以上が、私の最新の物語ですが、ある意味では最新ではないかもしれません。明日には新たなインスピレーションや、新たなチャレンジ、デザインが生まれるからです。創るべきもの、試すべき発想、並べてみるべき布地があるでしょう。経験、観察、そしてイマジネーションの物語に真の終わりはありませんから。
創造力を形に
連なる山々。霧にかすむ風景とその輪郭。色と風合い。ナチュラルマットな表面に残った雨粒。サンドラの作品にスコットランドの風景は、影響を与えているというより、存在そのものになっているようです。
ハードとソフト、光と影、素朴さと洗練の組み合わせ。落ち着き、変化、とらえどころのなさ。サンドラが心地よく感じるのは常に変化する背景です。
素材を重ねることで彼女の作品は形作られます。時を超越した現代性、既存のスタイルに加味された異国情調、技巧と美的感性。地元のハリス・ツィードが何代にもわたって織り続けられているように, 彼女の作品もすべて独自の物語を紡いでいます。ハリス・ツィード、フレンチ・レース、イタリアのシルク・オーガンザを時にはいっしょに、時には別々に使います。大切なのは素材の組み合わせです。
ウールはもちろんパレットの中央にあります。暖かくて着心地が良く、ソフトでありながら耐久性に優れ、落ち着いた風合いながらも力強さがあります。サンドラの熟練した技術と着る人の感性に呼応する素材であり、身体的・精神的な心地良さを兼ね備えています。
ベルベット、レース、ウール、チュール、シフォン、麻、ツィード。サテン、コットン、ブロカテル、ジョーゼット、タフタ、マトラッセ。こうした生地の融合が当然と考えらられる人がいたでしょうか?
オーダーメイド
オーダーメイドはサンドラ・マーレイを育てました。世界に1つだけの仕立ての良い衣服を手作りすることが、クチュールと職人芸の世界に彼女を導き、職人芸の美的感覚を支えるのに必要な、クチュールに対しての確かな目を育みました。数多いハイライトの1つは、1999年に訪れました。スコットランド議会の開会式に着るために、英国エリザベス女王のドレスの製作を依頼されたのです。
ロングドレスからフロックコート、さらには結婚式全体の衣装まで、又、それぞれの衣装が着られる場面のスタイリングまで(結婚式では当日のスタイリングまで)がサンドラの仕事になります。サンドラにとってオーダーメイドとは、彼女とお客様、そして誕生する作品の3者から成る緊密な関係性から生まれるのです。この関係性は、お客様との初めての打ち合わせの時から始まります。採寸する瞬間、完成品を夢見る瞬間 - 何年たってもサンドラ・マーレイだとわかる作品の完成ををサンドラは想像しながら、すべては、お客様との打ち合わせから始まります。
コンサルティングはサンドラのもう1つの仕事です。独自のノウハウを用いて、世界中の著名機関に、色、テキスタイル、スタイリング、イメージに関するアドバイスを提供します。
最近の主な仕事活動は次のとおりです
次回コレクション
キャッスル・コレクション
ハイランド地方の城からインスピレーションを得た、12か月にわたって展開されるコレクション・シリーズ
第1回のテーマはコーダー城
2010年4月5日
ニューヨーク開催 チャリティーイベント
‘Dress to Kilt’
ショーン・コネリーとサンドラ・マーレイのドレスをまとったフィオナ・ヒズラップ文化・外務担当大臣
2010年4月
ニューヨークのノーウッド・クラブにてFIT(Fashion Institute of Technology:ニューヨーク州立ファッション工科大学)学内コンペ授賞式
モデルのチェックをするサンドラ
2009年8月
コンペ‘City Meets Country, Scotland means Style’
スコットランド国際開発庁およびFITと共同設立
審査員
サンドラ・マーレイ、ブライアン・レニー(デザイナー)、マルコム・バーキンショー(ECA:エジンバラ芸術大学)、シーラ・メアリー・カラサース教授、スー・ストーンズ(ハーヴィー・ニコルズ)、エバ・アリギ(ヘラルド紙)、ボブ・カルジート、ローレン・ミリガン(ヴォーグ誌)
2009年11月
バッキンガム・パレスにてエリザベス女王よりMBE(大英帝国勲章)を受勲
2009年夏
アリスツ・オリエル・ハーウッドとマコリン・ブライアンと共にキャッスルハウス・ロンドン・ショーケースを開催
2009年7月
ザ・ギャザリング09のオープニングにてエジンバラ城でポーズをとるミス・スコットランドのキャサリン・ブラウン
2008年までの活動
ニューヨークSAKS、東京 -
スコットランド国際開発庁が関係する国際的な展示会
。ハリス・ツイードに関するレクチャーも開催
カンヌ映画祭 -
ハイランドズ&アイランドズ・フィルム・コミッションによる新作タータンをの発表。映画祭の一環として展示する作品も製作
メトロポリタン・クラブ・ニューヨーク -
スコットランド・ナショナルトラストのプロモーションのため、スコティッシュ・テキスタイルによるデザインを発表
ロンドン・ファッション・ウィーク -
スコティッシュ・テキスタイル展の一環としての展示